特集 妊産婦死亡をどう防ぐかⅡ
各論
13.輸血療法
松永 茂剛
1
S. Matsunaga
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター(准教授)
pp.1539-1544
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001116
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産科危機的出血では,しばしば重篤な凝固障害を発症し止血困難に陥ることがある。輸血療法において,産科危機的出血の重症度を規定する最も重要な検査値は血中フィブリノゲン濃度であり,その値によって必要投与輸血量も推測が可能である。凝固障害の正常化が遅れれば出血は遷延し,さらなる重症化が懸念されるため,近年POCTによる迅速な血中フィブリノゲン濃度の把握が試みられており,その補充のためにはMTPにも用いられている対応初期からの積極的な凝固因子補充が行われている。適切な輸血療法によって凝固障害からの早期離脱が妊産婦死亡減少に寄与すると考えられる。
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