増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル
Ⅰ章 周術期管理・総論
輸血療法
河野 武弘
1
Takehiro KOHNO
1
1大阪医科大学附属病院輸血室
pp.19-23
発行日 2019年10月22日
Published Date 2019/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212646
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周術期における輸血療法の概要
輸血療法は,量的に減少,または機能的に低下した血液成分を補充することによって臨床症状の改善を図る補充療法であり,他家血輸血においては成分輸血を原則とする.輸血用血液製剤は,日本赤十字社によって,献血者から提供された血液から製造される.その過程には,国が定めた採血基準と受血者の安全確保のための基準を満たした献血受付,病原体検査等の安全性確認,副作用予防のための白血球除去や,放射線照射等を含み,製造された輸血用血液製剤は,最適な条件で保管され,医療機関からの発注に基づいて地域の血液センターより供給される.
輸血療法には,安全で適正な実施が求められている.法的には,「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(血液法)」は,血液製剤の適正な使用と安全性に関する情報の収集及び提供に努めることを医療関係者の責務と定めている.また,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法,旧薬事法)」は,輸血用血液製剤を「特定生物由来製品」と定義し,その使用の際に,表示事項の把握,患者(またはその家族)に製品のリスクとベネフィットについての説明,記録の作成及び保管(20年間),副作用等の報告を義務付けている.
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