診療
日本におけるトキソプラズマ感染,食肉とペットの抗体陽性率
森 龍雄
1
,
星野 達二
1
,
衣田 隆俊
1
,
藤井 優
1
,
吉岡 信也
2
T. Mori
1
,
T. Hoshino
1
,
T. Kinuta
1
,
Y. Fujii
1
,
S. Yoshioka
2
1明和病院,兵庫県西宮市
2神戸市立医療センター中央市民病院
pp.1283-1288
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001042
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わが国のimmunocompetent hosts(IH)のトキソプラズマ(T)感染例を把握し,食肉とペットのT抗体陽性率を把握することは,妊娠中のT初感染に注意しようという啓発活動をする上で有用である。医中誌の文献から,最近5年間のIHのT感染例,食肉およびペットのT抗体陽性率を検討した。感染例は19例であった。発見の端緒は,脈絡網膜炎とリンパ節炎の合併が1例あるが,児の先天性T感染が8,リンパ節炎が6,脈絡網膜炎が4,皮膚T症が1,脳炎が1であった。食肉では,牛は検査頭数:830,陽性頭数:40,抗体陽性率は5%であった。豚は,1,022頭,61頭,6%であった。羊は264頭,76頭,29%であった。ペットでは,犬は1,979頭,138頭,7%であった。猫は201頭,54頭,27%であった。Tは不顕性感染が多いとはいえ,妊婦以外にも,リンパ節炎,脈絡網膜炎のかたちで,IHに顕性感染が起こっている。食肉とペットのT抗体陽性率はヒトよりも高いことが示された。妊婦は先天性感染を起こさないように,十分な注意が必要である。
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