特集 HPVワクチンを改めて考える―接種勧奨の再開に向けて―
2.中咽頭がんの疫学と治療
山下 拓
1
T. Yamashita
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.949-954
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000544
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ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の持続感染が中咽頭がんの発症にも関与しており,またHPV関連中咽頭がんが世界中で急増していることが明らかになってきた。HPV関連中咽頭がんが,臨床病理学的にほかの頭頸部がんとは明らかに異なる特徴を有することが判明し,新しいTNM分類では独立した疾患として分類されるに至った。現在,本疾患に対して適切な治療方針を決定するべく,多くの臨床試験が進行中である。HPV関連中咽頭がんに対する健診による二次予防が未確立のため,一次予防であるHPVワクチンの重要性が認識されている。ワクチン接種が口腔内のHPV感染を抑制することが示されており,中咽頭がんの発がん予防についても期待されている。本稿では,HPV関連中咽頭がんの疫学,治療,臨床研究,予防の現状につき概説する。
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