特集 PIHからHDPへ―妊娠高血圧症候群up to date―
2. 妊娠高血圧症候群の病因・病態
-―最近の知見―
齋藤 滋
1
,
中島 彰俊
1
,
塩﨑 有宏
1
S. Saito
1
,
A. Nakajima
1
,
A. Shiozaki
1
1富山大学産科婦人科
pp.599-605
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000454
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妊娠高血圧症候群は学説の疾患と呼ばれ,その病因・病態は永らく不明であった。しかし,最近の知見により,妊娠初期(10~18週頃)に起こる胎盤低形成に起因する早発型妊娠高血圧腎症と,高年齢妊娠,肥満などに起因し胎盤の老化に伴って発症する遅発型妊娠高血圧腎症に大別できることがわかってきた。前者に対しては妊娠16週未満から開始する低用量アスピリン療法が妊娠37週未満に発症する妊娠高血圧腎症を有意に低下させる。またHELLP症候群の一部が補体関連因子の遺伝子変異に伴う補体系の異常活性化によって起こる一種の非典型的溶血性尿毒症症候群であることも判明してきている。
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