特集 想起できるかが分かれ道! 知っておきたい母体合併症
11. 産後うつ
佐藤 昌司
1
S. Satoh
1
1大分県立病院総合周産期母子医療センター(所長)
pp.69-73
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000313
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産後うつ病は,産褥精神障害のなかで最も多い病型であり,わが国では褥婦の5~10%に認められる。重症度は軽いうつ状態から,ほとんど何もできなくなるものまで様々であり,重症化すると自殺の危険性,育児neglectや虐待との関連も指摘されている。産褥期には,精神症状と妊娠中のリスク評価を参考にしながら,精神障害の発生に注意することが重要である。本症のスクリーニング法としてはエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)が汎用され,質問票で9点以上の場合には産後うつ病の疑いと判断し,客観的な確定診断は専門医に委ねる。治療に関しては,必要に応じて精神疾患に豊富な知識・経験のある医師に相談するとともに,医療・行政面を含めた継続的な精神面支援体制を検討することが必要である。その上で,その後の治療方法,育児方法の立案,保健師らによる育児支援システム構築などについて,症例の状況に応じて検討する。
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