特集 産婦人科診療で用いられるバイオマーカー
CIN 進展のバイオマーカー
田口 歩
1
1都立駒込病院婦人科
pp.1209-1214
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000140
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子宮頸癌は,子宮頸部擦過細胞診による検診の導入により早期発見が可能となった。一方,細胞診単独ではサンプリングエラーなどにより十分な感度が得られない問題点も指摘されていた。近年,前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍:CIN)の検出方法として,従来の細胞診検査に加えHPV DNA テストの併用をベースとするトリアージが開始され,CIN2 の検出感度は大幅に上昇した。これにより見逃し例は減少したが,今度は擬陽性が増えるという新たな問題が生じたため,HPV E6/E7 mRNA テストなどにより特異性を高める検討が開始されている。また,CIN から子宮頸癌に進展する分子機構に基づいた,CIN の進展予測マーカーについても活発に研究が行われている。現在使用されているバイオマーカーを基盤とし,これら次世代のマーカーを組み合わせることで,より精度の高い検診・診療システムを確立することが期待される。
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