特集 あらためて見直すDown症候群――適切な管理とサポートで よりよい成人期につなげる
総論
2.Down症候群の子どもの成長発達
玉井 浩
1
1大阪医科薬科大学小児高次脳機能研究所
pp.870-877
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003564
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Down症候群は最も頻度が高い染色体異常の1つで,ほぼ全例に低緊張を伴う運動発達遅延と知的障害がみられる.低緊張は次第に改善するものの,靱帯の弛緩性は持続するため,姿勢維持のためには筋力を高める訓練も必要である.発達面では,理解言語にくらべて表出言語が遅れる傾向にある.また,聴覚的短期記憶が弱いため,語尾発語のように不完全語が多くなる.聴覚的情報処理よりも視覚的情報処理のほうが得意であるため,「話を聞いて,文脈を理解」するより,「見て理解」することが多くなる.自閉スペクトラム症や注意欠如多動症を伴うこともあり,特徴を理解したうえで,療育を組み立てる必要がある.

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