特集 小児循環器 最近のトピックス
2.胎児心疾患に対する胎児治療アップデート
漢 伸彦
1
1福岡市立こども病院胎児循環器科
pp.124-130
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003355
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胎児治療は,胎児期に診断された疾患や異常に対し,母体を通じて治療を行い,出生後の予後を改善する医療です.“Fetus as a Patient” という理念のもとに発展してきました.先天性心疾患(CHD)の胎児治療では,主に胎児心臓カテーテル治療が重症大動脈弁狭窄症,純型肺動脈閉鎖症,卵円孔狭窄/閉鎖を伴う左心低形成症候群に対して行われています.海外では多くの症例が報告されている一方で,有効性の十分な証明がなされていないこと,母体および胎児へのリスクに対する懸念から,日本では実施が見送られてきました.しかし日本胎児心臓病学会をはじめとする関連学会の協力のもと,2021年に成育医療研究センターで重症大動脈弁狭窄症に対する国内初の胎児治療が行われました.これを受け,国内での治療体制の整備と普及が期待されています.
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