目で見る小児科
自然経腟分娩で発症した帽状腱膜下血腫
岩崎 茜
1
,
竹田 義克
1
,
池野 郁
1
,
和田 英男
1
1公立能登総合病院小児科
pp.881-882
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001833
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
経過:在胎39週6日に3,342g,自然経腟分娩で仮死なく出生した.出生2時間後に頭部の軟らかい腫瘤に気づいた.活気良好で,バイタルサインに異常はなかった.診察上頭頂部から右後頭部にかけて波動のある軟らかい腫瘤があったが(図1),顔面や体幹,四肢に出血斑はなかった.血液検査でHb 18.4g/dL,Plt 24.3万/μLと貧血や血小板減少はなく,凝固系検査はPT 15.3秒,APTT 44.6秒と異常はなかった.頭部単純X線写真側面像で後頭部と頭頂部の頭蓋骨にずれがあり(図2),頭部CTで帽状腱膜下血腫,左頭頂部硬膜外血腫,左小脳テント部硬膜下血腫と診断した(図3).新生児黄疸に対して5日間の光線療法を行ったが,けいれんや貧血の進行はなく,画像上硬膜外血腫や硬膜下血腫の増悪はなかった.日齢9に退院し,1か月健診時には帽状腱膜下血腫は消退した.生後10か月時点で発育や発達に異常はない.
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.