特集 わが国の小児心臓移植
2.小児心臓移植の国際的現状
門脇 幸子
1
,
本浄 修己
1
1トロント小児病院
1Division of Cardiovascular Surgery, The Hospital for Sick Children
キーワード:
小児心臓移植
,
補助人工心臓
,
ABO不適合心臓移植
,
先天性心疾患
,
心筋症
Keyword:
小児心臓移植
,
補助人工心臓
,
ABO不適合心臓移植
,
先天性心疾患
,
心筋症
pp.441-449
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001715
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過去50年間に渡るデータの蓄積とそれに基づく集学的治療の発展は,近年の小児心臓移植成績の目覚ましい改善をもたらした.20年ほど前には50%程度であった術後8年生存率は今や70%を超える.ドナー-レシピエント体格差許容域の明確化,ABO不適合移植の導入はドナープールの増大に貢献し,ドナー心臓の病態生理に対する理解は臓器の不適切な廃棄を防ぎ,臓器虚血時間短縮や免疫抑制療法は予後の改善に貢献している.そして注目すべきは補助人工心臓の技術改善であり,移植待機死亡減少の原動力となっている.しかし,移植登録者数にくらべてドナーの数は依然不足しており,広く移植治療の恩恵を受けられるようさらなるドナープールの拡大が望まれる.
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