小児保健
母乳バンクの有用性と課題
水野 克己
1,2
1昭和大学江東豊洲病院小児内科
2一般社団法人日本母乳バンク協会
キーワード:
ドナーミルク
,
新生児栄養の標準化
,
殺菌方法
Keyword:
ドナーミルク
,
新生児栄養の標準化
,
殺菌方法
pp.321-325
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000376
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世界の母乳バンク数は工業先進国を含めて増加し続けている.その主な理由は,人乳が早産児に対する疾病予防効果,なかでも壊死性腸炎の予防効果を有することにあるだろう.近年,超早産児に対して生後早期から静脈栄養に加えて経腸栄養を開始することが児の予後を改善させるという報告も散見されるようになった.今後,ドナーミルク(DM)を利用できれば,早産児栄養方法の標準化も可能となる.課題はDMをどこでも利用できるように母乳バンクの体制を整えること,母乳成分への影響が少ない殺菌処理を導入すること,DMの安全性・母乳バンクの継続性を確保することであろう.2017年一般社団法人日本母乳バンク協会を設立し,これらの課題を解消すべく努力している.
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