特集 ロコモの現状と今後の展望
扉
大江 隆史
pp.778-778
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002604
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新型コロナの感染症法上の位置づけが5類感染症になった。新型コロナによる日本の3年半の死者と超過死亡者を合計しても約20万人であるから,この期間の全死亡者の5%程度である。したがって,コロナ禍の間にも,日本社会の高齢化と人類の長寿化は進行しており,その構造に変化はほぼないと言える。そうであるならば,これに対応する社会や医療の取り組みの重要性は,増大することはあっても縮小することはない。2019年に始まった,日本整形外科学会と日本老年医学会とのロコモとフレイルに関するコンセンサス作りは,新型コロナの出現直前に開始されたということもあって,コロナ禍の間にも進められた。その成果が2022年4月1日に発出された,「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」である。宣言は一見してその後のコロナの波の情報に上書きされたように見える。しかしコロナの大波が過ぎた今,この宣言の果たす役割は静かな海面に屹立する新島のように,新たな領海の起点になるであろう。
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