Japanese
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特集 整形外科疾患の運動療法—最近の進歩
運動が鎮痛に働く脳メカニズム
-—恐怖回避思考からの脱却を目指して—
Brain mechanisms of exercise-induced hypoalgesia;a way out from “fear-avoidance belief”
上 勝也
1
,
田島 文博
2
,
仙波 恵美子
3
Katsuya KAMI
1
,
Fumihiro TAJIMA
2
,
Emiko SENBA
3
1宝塚医療大学和歌山保健医療学部,リハビリテーション学科
2和歌山県立医科大学医学部,リハビリテーション医学
3大阪行岡医療大学医療学部,理学療法学科
キーワード:
Fear-avoidance model
,
Exercise-induced hypoalgesia
,
Mesocortico-limbic system
Keyword:
Fear-avoidance model
,
Exercise-induced hypoalgesia
,
Mesocortico-limbic system
pp.397-404
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001677
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要旨:運動は疼痛抑制(EIH)効果を発揮することが知られているが,EIH効果の脳メカニズム,特に痛みの情動的側面からの理解は十分であるとは言い難い。本稿では,まずEIH効果を生み出すmesocortico-limbic systemで生じる変化を中心に述べる。扁桃体は痛みの慢性化に関連する恐怖や不安のような情動的側面に重要な役割を担っている。そこで扁桃体とEIH効果との関係を検討したところ,自発運動(VE)は側坐核外側shellへ投射する扁桃体基底核内側部のglutamateニューロンの活性化を高め,神経障害性疼痛に伴い増加した扁桃体中心核のGABAニューロンの活性化を抑制した。さらにVEは,文脈性恐怖条件づけと恐怖記憶の再現に関与する腹側海馬CA1の錐体細胞の活性化を劇的に抑制することがわかった。これらの研究成果は,運動が恐怖回避思考からの脱却を可能にして鎮痛を生み出す脳メカニズムを理解するための重要な情報を提供するものである。
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