特集 骨粗鬆症性椎体骨折治療の最新知見
扉
中村 博亮
pp.128-128
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001174
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人生百寿時代を迎え,平均寿命は延伸を続けている。その一方で,健康寿命との乖離は男性で9年,女性で12年であり,この間は介護が必要な期間ということになってしまう。その要因として,運動器疾患は,認知症や脳血管障害よりもその頻度が高く,特に骨粗鬆症およびそれに伴う骨折は大きな要因となっている。骨粗鬆症性椎体骨折は,その中で最も頻度が高く,大腿骨近位部骨折と比較しても日常生活動作や生命予後により影響を与えるという報告もある。骨粗鬆症性椎体骨折の診断について,2012年に7学会からの委員によって構成された椎体骨折評価委員会は,椎体骨折評価の新しい基準を発表した。1996年度版評価基準との相違点は,半定量的評価法(semiquantitative method;SQ法)を追加したこと,X線像の読影で椎体の傾斜や椎体の立体構造を考慮することを付記したこと,MRIによる評価を付記したことである。同時に関連用語についても整理がなされ,形態骨折や,臨床骨折の定義が明確化された。骨粗鬆症性椎体骨折には,既存骨折や形態骨折が混在するため,新鮮臨床椎体骨折を診断することは必ずしも容易ではない。最近,受傷後の経時的MRI所見の変化を報告する論文が発表され,新鮮骨折の鑑別が可能になりつつある。このように骨粗鬆症性椎体骨折については,急減にその新知見が報告されている。
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