女性アスリートの医学的問題と対策

Medical problems and countermeasures for female athletes

要旨：女性アスリートの三主徴とは，「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗鬆症」であり，女性アスリート外来では無月経を主訴に受診するアスリートが多い。無月経は低骨量の原因となり，疲労骨折リスクが高まることが知られている。利用可能エネルギー不足により三主徴をきたすので，治療の第一選択は食事療法であるが，場合によりホルモン補充療法を検討する必要がある。ほかの問題として「月経随伴症状」があり，月経困難症や月経前症候群（PMS/PMDD）のことを指す。その対策としてはOC・LEPの内服が第一選択であり，月経と試合や合宿の日程をずらす月経調整にも役立つ。女性アスリートが心身ともにコンディションを整え最大のパフォーマンスを発揮するため，また長期的な視野で女性アスリートの健康を守るために，女性特有の問題を相談しやすい環境づくりが重要である。