特集 内分泌疾患に伴う運動器障害
甲状腺機能低下症の筋・骨格系障害
辰島 啓太
1
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院,内分泌代謝科
キーワード:
Hypothyroidism
,
Low bone turnover
,
Hypothyroid myopathy
Keyword:
Hypothyroidism
,
Low bone turnover
,
Hypothyroid myopathy
pp.1567-1570
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000236
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要旨:甲状腺機能低下症は内分泌疾患の中で最も頻度の高い疾患群である。こむら返りや四肢脱力といった筋骨格系の症状を契機に診断されることもあり,目の前の患者に対して甲状腺機能低下症の診断を想起できることが重要となる。甲状腺機能低下症患者の骨折リスクは高い。骨密度の低下を必ずしもきたさないが,骨リモデリングサイクルの低下,性腺機能の低下,身体活動量の低下および転倒といった様々な要因によって骨折リスクが高まると考えられる。また,甲状腺ホルモン製剤による過剰補正が骨折リスクとなる。甲状腺機能低下症はミオパチーの原因となりうる。筋の収縮・弛緩の不調和やグリコーゲン・グリコサミノグリカンなどの代謝障害によって筋けいれん・脱力・筋萎縮をきたす。筋肉痛や四肢脱力を訴える患者に再現性のある高CK 血症,高LDH血症,高コレステロール血症,貧血,低ナトリウム血症などをみた場合には血清TSHと遊離T4 を測定することが薦められる。
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