特集 脊椎関節炎の診断と治療
小児でみられる脊椎関節炎
岡本 奈美
1
1大阪医科大学大学院医学研究科,小児科学
キーワード:
Juvenile spondyloarthritis
,
Juvenile idiopathic arthritis
,
Enthesitis
Keyword:
Juvenile spondyloarthritis
,
Juvenile idiopathic arthritis
,
Enthesitis
pp.1477-1485
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000208
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脊椎関節炎患者のうち,16 歳の誕生日以前に発症したものを若年性脊椎関節炎と呼ぶ。国際リウマチ学会の若年性特発性関節炎分類基準における「付着部炎関連関節炎」「乾癬性関節炎」「未分類関節炎の一部」は脊椎関節炎に内包される概念だが,すべては網羅していない。小児の脊椎関節炎の把握には,成人と同じ強直性脊椎炎・脊椎関節炎の分類基準を用いて分類することが適切と考えられ,若年性脊椎関節炎の概念が浸透してきた。有病率は過去の疫学研究によると,小児10 万人あたり欧米0.28〜88人,本邦0.57 人である。病態としてHLAB27との関連,腸管感染症との関連,付着部への機械的ストレスなどが報告されている。特徴として初期は炎症性腰痛を欠くことが多くperipheral type で発症しやすい,体軸性病変の出現が緩徐である(発症から5〜10 年),unclassified が多いことなどである。若年性乾癬性関節炎においても,小児の乾癬皮疹は非典型例が多くアトピー性皮膚炎と鑑別が困難であり,関節炎が先行する例が多く,皮疹を欠き爪病変・指趾炎のみの症例が多いことから初期診断が困難である。そのため若年性脊椎関節炎の初期診断は困難で,若年性特発性関節炎の他の病型に分類されていることがある。画像診断では,早期病変が主体で骨変化が出現前状態が多い小児において,MRI や超音波検査の有用性は高い。治療は,非ステロイド抗炎症薬,サラゾスルファピリジンまたはメトトレキサートを用いる。初期治療に反応しない場合や,診断時すでに仙腸関節炎を認める場合は,抗腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の使用を考慮する。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.