手術症例報告
右上葉区域肺静脈分岐の破格を伴う食道癌に対してロボット支援食道切除術を行った1例
金子 達也
1
,
後藤 裕信
1
,
小寺澤 康文
1
,
青木 丈明
1
,
金治 新悟
1
,
掛地 吉弘
1
1神戸大学大学院医学研究科外科学講座食道胃腸外科
キーワード:
食道癌
,
V2 aberrant
,
minimally invasive esophagectomy
Keyword:
食道癌
,
V2 aberrant
,
minimally invasive esophagectomy
pp.367-372
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004315
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肺静脈の走行にはいくつかの破格があり,そのなかの1つに右上葉区域肺静脈が右上肺静脈から独立分岐し左房や肺静脈に流入する血管破格(V2 aberrant)がある1, 2)。V2 aberrantは右気管支背側を走行するため,食道癌手術における気管分岐部リンパ節郭清の際に注意を要する。V2 aberrantを誤って損傷した場合,出血により術野の確保が困難になるだけでなく心嚢内に出血が広がり心タンポナーデを引き起こすことがある3)。また,結紮や切離をした場合は肺うっ血に至り,うっ血領域が広い場合は肺静脈再建が必要になることもある4)。そのため食道癌に対する手術において気管分岐部リンパ節郭清を行う際は術前からV2 aberrantの存在には常に注意を要する。今回,われわれは,V2 aberrantを有する食道癌に対してCTから術前にV2 aberrantを同定し,気管分岐部リンパ節郭清を伴うロボット支援食道切除術を経験したため報告する。

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