手術症例報告
下咽頭癌術後の腹臥位胸腔鏡下食道癌手術─永久気管孔,両側DP(deltopectoral)皮弁の取り扱いに注意を要した1例
川上 次郎
1
,
深谷 昌秀
1
,
宮田 一志
1
,
富永 健太
1
,
丸尾 貴志
2
,
江畑 智希
1
1名古屋大学大学院腫瘍外科学
2名古屋大学大学院頭頸部・感覚器外科学講座耳鼻咽喉科学
キーワード:
食道癌
,
下咽頭癌
,
永久気管孔
Keyword:
食道癌
,
下咽頭癌
,
永久気管孔
pp.905-910
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002217
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下咽頭癌と食道癌は異時性,同時性に重複の多い癌である1)。下咽頭癌の咽喉頭全摘術,遊離空腸再建後に発生した異時性食道癌に対する外科的食道切除はリスクの高い治療である。遊離空腸や気管孔の癒着剥離に伴う臓器損傷リスクに加え,食道切除に伴う気管血流の減少が気管孔壊死のリスクとなる2)。本症例は下咽頭癌術後に気管孔壊死で両側DP(deltopectoral)皮弁再建が追加され,術後補助化学放射線療法の照射野に異時性に食道癌が出現した。同時に出現した中咽頭癌の治療中に食道癌が進行し,外科的切除のみが根治治療となった。気管血流に配慮することで安全に食道切除を行ったので,本稿にて報告する。
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