特集 膵頭十二指腸切除に必要な外科解剖と手術手技
解剖学的変異症例に対する膵頭十二指腸切除
岡田 健一
1
,
山上 裕機
1
1和歌山県立医科大学第2外科
キーワード:
解剖学的変異
,
肝動脈
,
膵癌
Keyword:
解剖学的変異
,
肝動脈
,
膵癌
pp.1045-1052
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001752
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膵臓外科医は,膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;PD)を施行する症例の19~24%で,右肝動脈(right hepatic artery;RHA)や総肝動脈(common hepatic artery;CHA)の分岐異常を伴うRHAの破格に遭遇する。膵癌患者におけるRHA破格の存在は,予後や合併症率に影響を及ぼさないとの報告がある一方,顕微鏡学的癌遺残切除の可能性が高い切除可能境界(borderline resectable;BR)のカテゴリーにおけるRHA破格の問題は十分に議論されていない。したがって,顕微鏡学的癌遺残を避けるためにも,破格のあるRHAを温存するか切除するかの判断基準は,検討しておく必要がある。診断のポイントは,腫瘍と血管構造の間の距離であり,局所の外科的根治性に直接影響する。
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