特集 高度進行消化器癌に対する手術
Ⅲ 肝・胆・膵 16 BR-UR膵癌に対する腹腔動脈合併尾側膵切除(DP-CAR)
浅野 賢道
1
,
中村 透
1
,
平野 聡
1
1北海道大学大学院医学研究院消化器外科学教室Ⅱ
キーワード:
局所進行膵体尾部癌
,
腹腔動脈合併尾側膵切除術
Keyword:
局所進行膵体尾部癌
,
腹腔動脈合併尾側膵切除術
pp.639-648
発行日 2019年3月31日
Published Date 2019/3/31
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001153
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腹腔動脈合併尾側膵切除術(distal pancreatectomy with en bloc celiac axis resection;DP-CAR)は,膵体部癌に対して癌遺残のない(R0)切除を極限まで追求した切除法である。2007年に当教室が初めてその長期成績を報告し1),以降,わが国のhigh volume centerを中心に発展を遂げてきた。早期診断がきわめて難しい膵体部癌は,解剖学的に脾動脈(splenic artery;SA),腹腔動脈(celiac axis;CA),総肝動脈(common hepatic artery;CHA),上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;SMA)などの主要動脈に囲まれているため,ある程度の大きさを有すれば確実にいずれかの動脈に近接することになる。すなわち,膵癌取扱い規約第7版2)より導入された切除可能性分類で,切除可能境界(borderline resectable;BR)または切除不能(unresectable;UR)である場合が多く,DP-CARはそのような症例に対して最適な術式であるといえる。膵癌に対する化学療法などの非手術療法がめざましい発展を遂げている現在において,手術を先行する意義についてはcontroversialであるが,進行膵癌に対する一連の治療戦略において外科手術の果たす役割がきわめて大きい以上,膵臓外科医にとってDP-CARの理念および手技に習熟することが望まれる。
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