乳酸桿菌による菌血症をきたした背部ガス壊疽の1例

Dorsal gas gangrene with Lactobacillus bacteremia

49歳，女性。初診16日前から背部に疼痛，10日前から食思不振，嘔吐がみられるようになった。背部にガス像と皮膚壊死を伴う広範な皮下膿瘍を認めた。未治療の糖尿病（随時血糖 926mg/dl，HbA1c 13.1％）を合併していた。デブリードマン，セフメタゾール点滴を行い，感染は改善した。創部培養，血液培養3セットすべてからグラム陽性桿菌（Lactobacillus jensenii）を検出した。Lactobacillus属は乳酸桿菌とよばれ，プロバイオティクスなどに使用される。乳酸桿菌による感染症は免疫不全者などに生じることが多い。菌血症はまれであるが，死亡率は高いことが報告されており，血液培養でグラム陽性桿菌を検出した際には念頭に置く必要がある。