左膝に生じた菌腫型原発性皮膚ノカルジア症の1例

Primary cutaneous nocardiosis on the left knee manifesting as mycetoma

20歳，男性。初診2年前に左膝に紅色扁平隆起性病変が出現した。初診1年前に前医にて組織培養検査を行うも，原因菌は同定できなかった。当科初診時，左膝前面に紫紅色調の肉芽腫様結節が多発し，一部で瘻孔，びらんを認めた。組織培養では小川培地で6日目にコロニー形成を認めた。質量分析装置のNocardia brasiliensisのscore value値と，臨床所見とをあわせて菌腫型原発性皮膚ノカルジア症と診断し，抗菌薬の内服加療で皮膚病変は軽快した。臨床所見から皮膚ノカルジア症を疑った場合には，長期間の一般細菌用培地や小川培地での培養も行い，培養の結果が陰性の場合には，複数回の組織培養の実施が望ましい。