症例
エクリン汗孔腫より生じたエクリン汗孔癌の1例
鈴木 麻生
1
,
松倉 節子
1
,
佐野 遥
1
,
宮沢 めぐみ
1
,
和田 秀文
2
1横須賀市立うわまち病院,皮膚科(主任:大川智子科長)
2横浜市立大学附属病院,皮膚科
キーワード:
エクリン汗孔腫
,
エクリン汗孔癌
,
悪性化
Keyword:
エクリン汗孔腫
,
エクリン汗孔癌
,
悪性化
pp.1165-1169
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000090
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77歳,男性。当科初診の2年前,下腹部に黒褐色の顆粒状皮膚腫瘍を自覚し,近医を受診。液体窒素凍結療法を施行し,一旦平坦化した。9カ月後,同部の出血を伴う32×19mm大の紅色隆起性皮膚腫瘍を主訴に当科を受診。病理組織学的所見では,強い異型性を示すporoid cellから構成される大小不同の充実性胞巣が真皮深層へ浸潤しており,エクリン汗孔癌と診断。表皮から連続する腫瘍胞巣の一部は異型性に乏しく,深層に及ぶにつれ異型性を強く認めた。近医皮膚生検での病理組織学的所見では,poroid cell からなる表皮内腫瘍性病変を認め,腫瘍細胞の一部にclumping cellや核分裂像を認めた。病理組織学的所見より,自験例をエクリン汗孔腫から二次的に発生したエクリン汗孔癌と考えた。エクリン汗孔腫は,エクリン汗孔癌の発生母地となり得るため,エクリン汗孔腫をみた際には切除することが望ましい。
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