Japanese
English
症例報告
45年前より認める手掌のエクリン汗孔腫に生じたエクリン汗孔癌の1例
A case of palmar eccrine porocarcinoma arising from a 45-year history of eccrine poroma
馬場 裕子
1
,
野村 尚志
1
,
藤本 篤嗣
1
,
杉浦 丹
1
Yuko BABA
1
,
Hisashi NOMURA
1
,
Atsushi FUJIMOTO
1
,
Makoto SUGIURA
1
1静岡市立清水病院皮膚科
1Division of Dermatology, Shizuoka City Shimizu Hospital, Shizuoka, Japan
キーワード:
エクリン汗孔癌
,
エクリン汗孔腫
Keyword:
エクリン汗孔癌
,
エクリン汗孔腫
pp.820-823
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104130
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 82歳,女性.45年来,右手掌中央に径3mm大の黒褐色結節を認めた.半年前より誘因なく急速に増大,初診時には径20mm大,疣状で多房性の紅色腫瘍を呈していた.病理組織学的に,腫瘍全体は左右対称で棍棒状に増殖する上皮索を持ち,好塩基性の大小不整な細胞と好酸性の組織球様細胞が増殖していた.個細胞角化,分裂像や多核巨細胞も観察された.腫瘍巣内の好酸性物質の増殖は表皮内汗管を示唆し,辺縁で異型性に乏しい好塩基性細胞の網状増殖と,CEAとCAM 5.2陽性の管腔様構造を認めた.エクリン汗孔腫から生じたエクリン汗孔癌と診断した.エクリン汗孔癌はde novo発症と,前癌病変からの二次的発症がある.前者は比較的緩徐に増大し,後者は前癌病変がある時点より急速に増大して発症する.エクリン汗孔腫と汗孔癌の鑑別には,特に腫瘍巣内に占めるbowenoid changeの部位や割合が重要となる.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.