特集 眼疾患のガイドラインと診療指針解説とアップデート
1 ドライアイ診療ガイドライン
堀 裕一
1
1東邦大学医療センター大森病院眼科
pp.1229-1234
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002932
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ドライアイは,日本のみならず世界中で患者数の多いcommon diseaseである。わが国では2016年にドライアイの定義と診断基準が改訂され,「さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり,眼不快感や視機能異常を生じ,眼表面の障害を伴うことがある」と定義された1)。診断基準に関しても,1)自覚症状と,2)涙液層破壊時間(BUT)が5秒以下となり(表1),それまでのSchirmer値や角膜染色スコア2)3)が診断基準に含まれなくなり,「涙液層の安定性低下」がドライアイの病態の中心であることが強調されてきた(図1)。わが国では,2010年にジクアホソルナトリウム点眼が,2012年にレバミピド点眼がそれぞれドライアイ治療点眼薬として上市され,それまで外部からの水分補充しかなかったドライアイ治療において,涙液層のコンポーネントを改善させることで眼表面における涙液層の安定性を向上させる治療(眼表面の層別治療:TFOT)が実現できるようになった4)。ドライアイに対する治療選択については,ガイドラインができる以前からドライアイ研究会が中心となった学会活動や勉強会を通じてある程度のコンセンサスは構築されていたが,やはり,エビデンスに則ったしっかりとしたガイドラインの作成が必要であるという機運が高まり,ドライアイ研究会が主導して2015年6月19日に第1回ドライアイガイドライン作成委員会が開催され,正式にわが国で初めての(おそらく世界でも初めての)ドライアイ診療ガイドラインの作成が開始された。
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