学会抄録
第128回京都眼科学会
pp.897-907
発行日 2022年9月5日
Published Date 2022/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002784
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❶特別講演(13:30〜14:00)
座長:外園千恵(京都府立医科大学)
「網膜静脈圧」
○喜田照代(大阪医科薬科大学)
網膜静脈圧(RVP)は眼圧とほぼ同値で,RVPと眼圧は相関するとの動物実験の報告(Westlake,2001)により,長い間実臨床で測定することはなかった。しかしながらRVPが高値になる眼底疾患がある。網膜静脈の拍動は視神経乳頭上や乳頭近くで確認でき,多くの健常者で観察可能である。網膜静脈閉塞症(RVO)はRVPが上昇しており,RVOを発症していない僚眼も高いRVPを呈する。また,RVOの黄斑浮腫に対する抗VEGF療法後,RVPは減少し,抗VEGF薬は黄斑浮腫や出血を改善するだけでなくRVPを低下させることがわかった。またRVO以外に緑内障や糖尿病網膜症でもRVPは高い。眼内循環は眼灌流圧(PP)に依存し,PPは血圧と眼圧の差と定義されてきたが,病態や治療を考えるうえで,PPは血圧とRVPの差と考えたほうがよいのかもしれない。さらなる研究が必要である。
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