特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅱ.眼球運動障害 6.頸動脈海綿静脈洞瘻
坂口 貴鋭
1
,
藤井 美奈子
1
,
鈴木 康夫
2
1手稲渓仁会病院眼科(札幌市)
2手稲渓仁会病院眼窩・神経眼科センター(札幌市)
pp.1373-1378
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002421
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二重になった脳硬膜の間に存在する静脈は,並走する動脈のない特殊な静脈で,「硬膜静脈洞」と呼ばれる。「海綿静脈洞」はこの一部であり,蝶形骨体上面,下垂体窩の両側に左右一対存在し,その間を前・後海綿間静脈洞が連絡している。海綿静脈洞は,顔面や側頭窩下などの頭頂部領域,脳表,脳深部等の静脈血の流出路である。特に眼科臨床では,眼球とその付属器を含めた眼窩領域の静脈のほとんどが合流する上眼静脈の流出路であることが重要である(下眼静脈の一部は下眼窩裂を通り翼突筋静脈叢に入るが大部分は上眼静脈に合流する)。海綿静脈洞に連絡する静脈路を図1に示す。海綿静脈洞内部を内頸動脈が貫通し,外壁内に脳神経(Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ1,Ⅴ2)が位置し,Ⅵは静脈洞内部を通過する(図2)。
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