症例報告
緑内障治療中に発症した左後頭葉脳梗塞の1例
林 孝彰
1
,
大島 真
2
1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科
2アリオ大島眼科(東京都葛飾区)
キーワード:
中心性同名半盲
,
視野障害
,
緑内障
,
後頭葉
,
脳梗塞
,
後大脳動脈
Keyword:
中心性同名半盲
,
視野障害
,
緑内障
,
後頭葉
,
脳梗塞
,
後大脳動脈
pp.589-595
発行日 2021年6月5日
Published Date 2021/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002163
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緑内障治療中に左後頭葉・後頭極の脳梗塞を発症し,右中心性同名半盲の評価が困難であった後期高齢者症例について報告する。症例は79歳,男性。突然の右眼耳側視野異常の精査目的で当院救急外来を受診した。緑内障に対して点眼加療中であった。頭部CTならびに頭部MRI検査が施行され,左後頭葉・後頭極のアテローム血栓性脳梗塞・急性期と診断された。眼科的には,瞳孔異常や眼球運動障害は観察されず,軽度白内障ならびに左眼視神経乳頭陥凹所見を認める以外,特記すべき所見はみられなかった。視力低下の自覚はなく右眼耳側視野異常を訴え,右同名半盲の存在が推察された。内科的加療が施行され,発症から8週後の眼科的検査で,矯正視力は両眼それぞれ1.2と良好であった。光干渉断層計検査で,緑内障による左眼の網膜神経線維層欠損ならびに黄斑部網膜神経節細胞層の菲薄化を認めた。Goldmann視野で,右眼では黄斑回避を伴う盲点中心暗点様の所見が,左眼では中心鼻側にV/4イソプタの暗点が検出され,右調和性・中心性同名半盲に左緑内障性視野障害を重複した視野異常と考えられた。
高齢者においては,緑内障経過観察中に突然の耳側視野異常を訴えた場合,視野検査を施行し直近の検査結果と比較するとともに,脳梗塞発症の可能性を念頭に置き,速やかに頭部画像検査を行う必要があると考えられた。
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