特集 COVID-19時代の眼科診療
3 緑内障
相原 一
1
1東京大学医学部眼科学教室
キーワード:
COVID-19
,
緑内障
,
患者動向
Keyword:
COVID-19
,
緑内障
,
患者動向
pp.427-433
発行日 2021年5月5日
Published Date 2021/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002124
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緑内障は日本の失明原因第1位,世界でも白内障に次いで第2位であり,日本では500万人以上,この高齢社会では今後も増加の一途であろう。主要二病型のひとつで国内では約9割を占める原発あるいは続発開放隅角緑内障においては,ほとんど慢性進行性で自覚症状が出たときには末期か顕著な中心視野障害を呈する。もう一病型の閉塞隅角緑内障は急性と慢性があるが進行は早いことが多く,アジアの緑内障の失明原因の大半を占めるため問題である。いずれにしろ,緑内障の病態は眼圧による視神経障害で構造的にも機能的にも不可逆性障害であり,慢性の眼圧上昇はもちろん,視野視力障害も末期まで自覚しないため,早期診断早期発見が重要である。またたとえ早期診断されても,患者自身が努力する自己点眼に頼る治療である。同様な性質を持つ生活習慣病の糖尿病と比較して,残念ながら普段自分で発症予防,進行抑制に努力できることが一切ない。自覚症状がなく,不自由を感じない疾患の長期管理には多くの課題がある。そのような現状に追い打ちをかけることになったCOVID-19時代である。行動変容と社会構造変化に適応した緑内障診療を模索していく必要に迫られている。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.