網膜橋渡し研究アップデート
6.人工視覚
向後 二郎
1
1聖マリアンナ医科大学眼科
pp.949-955
発行日 2019年9月5日
Published Date 2019/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001320
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視覚神経への電気刺激によって失明者の視覚を再建する工学システムを総称して人工視覚(artificial vision)や人工眼(visual prosthesis)という。眼球や脳の視覚皮質へ電気刺激を行うと光を感じることが古くから知られている 「電気的閃光(electrical phosphene)」,人工視覚はこの原理に基づいている。網膜や脳の視覚皮質のある1点を電気刺激するとひとつの点が見え,複数箇所を刺激すると複数個の点を見ることができる。したがって十分な刺激があれば,電光掲示板のような低次レベルの形態視(物の形がわかる能力)を,そして将来はより高精細な視覚情報を再建できると考えられている(図1)。人工視覚には脳刺激型,神経刺激型,網膜刺激型に大別されるが,以下に網膜刺激型について述べたいと思う。
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