Ⅱ.所見からみた診断の進め方
5 角結膜 4)角膜形状異常
神谷 和孝
1
1北里大学医療衛生学部視覚生理学
pp.1221-1224
発行日 2018年9月30日
Published Date 2018/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000853
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角膜形状異常は,円錐角膜,ペルーシド角膜変性,レーシックなど屈折矯正手術後,翼状片,角膜移植後,角膜外傷など,さまざまな角膜疾患で生じ得るが,臨床の現場では,特に角膜菲薄化疾患や屈折矯正手術後の診断が重要となる。これらの疾患では,通常の細隙灯顕微鏡検査だけで診断するのは困難なことが多く,角膜形状解析が診断や病態把握をするうえで有用性が高い。角膜形状解析装置としては,オートケラトメータ,プラチドリング式角膜形状解析,シャインプルーク式角膜形状解析,前眼部光干渉断層計(OCT)などが存在し,それぞれの装置の特性が異なる。オートケラトメータは,角膜傍中央部の曲率半径を楕円近似することで強・弱主経線上の角膜屈折力を表す。日常臨床の現場において最も頻用されており,解析が単純で再現性が高く,正常眼においては精度も高い。その一方,不正乱視の有無や程度を判定するのが困難である。プラチドリング式角膜形状解析では,角膜上のマイヤーリング像のリング間距離から角膜前面屈折力をカラーコードマップで表示する。角膜前面形状異常を最も鋭敏に検出することが可能である。その一方,角膜後面形状および角膜厚に関する情報が得られない。シャインプルーク式角膜形状解析や前眼部OCTでは,角膜前面以外にも角膜後面形状や角膜厚が計測可能であり,角膜全体の構造的変化を把握できる。特に前眼部OCTでは,多少の角膜混濁があっても角膜形状解析が可能である。
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