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今,空前の人工知能(artificial intelligence:AI)ブームで,実用化が進み,老若男女知らない人はいないだろう。たとえば,iRobot社のお掃除ロボット「ルンバ」(2002年発売)に始まり,アップルiPhoneの音声対話システム「Siri」(2012),ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」(2015),テスラ・モーターズなどの自動運転車,最近では,「Google Home」,「Amazon Echo」,「LINE Clova WAVE」(2017)などのスマートスピーカー,三菱のAI搭載ルームエアコン「霧ヶ峰FZシリーズ」(2017),ソニーの新型の犬型ロボット「aibo」(2017)など,認知度も高くなってきている。家電製品がますます便利になる一方で,2017年5月27日には,囲碁の世界最強棋士,中国の柯潔(かけつ)九段に対し,ディープマインド社の「アルファ碁」が3戦全勝を飾り,チェス,将棋に続き,囲碁までもAIが人間を上回り,今後,AIの進化によって,スーパーのレジ,ホテルのフロント業務,タクシードライバーなどをはじめとして,多くの職業がなくなると予想されている。医療業界にもAIの波が押し寄せてきている。既に,一部の病院では,患者への疾患説明や外来待ち合いでの癒し効果を期待して,人型ロボット「Pepper」が導入されている。また,画像の診断や解析を目的にAI関連の研究が盛んになってきている。画像解析には,2012年に登場したディープラーニング(深層学習)という人間の神経回路を模した機械学習のためのコンピュータアルゴリズム(図1)が用いられ1),有名なところではGoogleのネコの認識に関する研究がある。YouTube上の1,000万枚のネコの画像をコンピュータに入力,処理,学習させることで,新規の画像のなかからネコを認識することができた。ネコの特徴を人間があらかじめ教えなくてもAIが自ら特徴を見出したところが大きな進歩なのである。
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