症例
薬疹と鑑別を要した高齢者の麻疹の1例
奈古 利恵
1
,
船坂 陽子
,
高山 良子
,
加藤 浩司
,
根井 貴仁
,
佐伯 秀久
1日本医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
PCR法
,
鑑別診断
,
薬疹
,
麻疹
,
麻疹ウイルス
Keyword:
Drug Eruptions
,
Diagnosis, Differential
,
Measles
,
Measles virus
,
Polymerase Chain Reaction
pp.1184-1187
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016319269
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67歳男。フィリピンへ渡航し帰国した1週間後に39℃台の発熱と水様便、咳嗽が出現した。近医と当院内科で数種の内服薬を処方され、皮疹が出現したため薬疹の疑いで当科に紹介された。顔面を含むほぼ全身に浮腫性紅斑を認め、一部にtarget lesionを認めた。皮膚生検では、表皮真皮境界部に空胞変性を認めたほか、毛包漏斗部と有棘層上層に壊死した角化細胞と、2核の壊死細胞を認めた。臨床検査で麻疹IgMの高値を認め、咽頭ぬぐい液PCR法で麻疹ウイルスB3型が陽性を示したことから麻疹と診断した。皮膚生検で認められた「毛包漏斗部の2核の壊死細胞」は麻疹の所見として矛盾がなく、薬疹と鑑別するうえで重要な所見であると考えられた。
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