症例
Hyperkeratosis of Nipple and Areolaの1例
伊勢 友加里
1
,
秋山 俊洋
,
吉池 高志
,
徳留 康子
1順天堂大学医学部附属静岡病院 皮膚科
キーワード:
角化症
,
生検
,
乳頭
,
乳房疾患
Keyword:
Biopsy
,
Breast Diseases
,
Keratosis
,
Nipples
pp.715-718
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016318349
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16歳女。右側乳頭部の皮疹を主訴とした。幼児期より右側乳頭部が左側と比較して平坦もしくは陥凹していたが、12歳時(初潮の数ヵ月後)より同部位が隆起した。右側乳頭部は全体的に陥没性で、一部が乳頭腫の角質増殖局面を呈していた。びらんなどはなく、硬結も触れなかった。左側乳頭部も、その中央、即ち乳頭口に軽微ながら右側と同様の角化局面を認め、これも最近になって生じた変化であった。左右ともにそう痒や圧痛などの自覚症状はなかった。病理組織学的所見で乳輪部と比較して乳頭部に淡明な細胞からなる表皮の肥厚を認めた。これはPSA染色では染色されなかった。また、炎症はなく、乳頭腫症も明瞭ではなかった。以上より、病理組織学所見が特異性に乏しく、臨床症状も軽微ながらhyperkeratosis of nipple and areolaと診断した。悪性疾患ではないと説明したところ、特に積極的な治療を希望せず経過観察としている。
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