臨床経験
胎児輸血が奏効したパルボウイルスB19感染例の治療経過に伴う胎児循環動態の変化
山下 聡美
1
,
立石 洋子
,
多田 克彦
1国立病院機構岡山医療センター
キーワード:
パルボウイルス科感染症
,
血流速度
,
出生前超音波診断
,
胎児水腫
,
妊娠合併症-感染性
,
子宮内輸血
,
ヒトパルボウイルスB19
,
感染症垂直伝播
,
中大脳動脈
,
生児出生
Keyword:
Blood Flow Velocity
,
Blood Transfusion, Intrauterine
,
Parvoviridae Infections
,
Pregnancy Complications, Infectious
,
Hydrops Fetalis
,
Ultrasonography, Prenatal
,
Parvovirus B19, Human
,
Infectious Disease Transmission, Vertical
,
Middle Cerebral Artery
,
Live Birth
pp.871-876
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016341323
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母体は30歳0経妊0経産で、妊娠16週に微熱、全身倦怠感、関節痛が出現し、妊娠18週に血液検査でパルボウイルスB19のIgMが陽性となった。妊娠23週に胎児腹水が出現した。羊水穿刺を施行し、PCR法にてパルボウイルスB19 DNAを確認した。その後1週間でさらに腹水は増量し、皮下浮腫の出現を認めた。ドプラ血流計測所見では、胎児貧血の重要なマーカーとして知られる胎児中大脳動脈収縮期最高血流速度(MCA-PSV)は著明に上昇し、経過からパルボウイルスB19の胎児感染による重症貧血から高拍出性心不全をきたし、胎児水腫に陥ったと診断した。臍帯静脈穿刺を行った。臍帯静脈血のHb値は2.6g/dlと高度の貧血を認め、引き続きO型Rh陰性血を用いて胎児輸血を行った。循環動態の改善に伴い、徐々に腹水・頭部皮下浮腫ともに減少し、妊娠29週で皮下浮腫は消失、妊娠32週には胎児腹水も消失した。選択的帝王切開術にて、出生となった。日齢7で退院となった。
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