特集 脊髄損傷の治療アップデート
HGFを用いた急性期脊髄損傷治療-重度頚髄損傷に対する日本発・新規薬剤・髄腔内投与の挑戦-
北村 和也
1
,
名越 慈人
2
,
岡野 栄之
3
,
中村 雅也
2
1防衛医科大学校整形外科学講座
2慶應義塾大学医学部整形外科学
3慶應義塾大学医学部生理学
キーワード:
肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor)
,
脊髄損傷(spinal cord injury)
,
治験(clinical trial)
Keyword:
肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor)
,
脊髄損傷(spinal cord injury)
,
治験(clinical trial)
pp.218-226
発行日 2022年3月19日
Published Date 2022/3/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000000911
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ラット胸髄損傷に対する肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)遺伝子治療の有効性を2007年に報告して以来,臨床応用を目指して霊長類を含めた脊髄損傷モデルに対するヒトHGF蛋白(recombinant human HGF;rhHGF)髄腔内投与の有効性とその至適投与時期を明らかにし,安全性試験を含めた髄腔内rhHGF薬物動態試験を経て,2014年6月より企業主導治験(第1/2相)を行った。本治験では,受傷後72時間の時点で改良Frankel分類A/B1/B2を呈する18~75歳の重度頚髄損傷患者を本登録した。本登録から6時間以内に治験薬を腰椎高位から髄腔内に初回投与し,その後,週1回,合計5回投与を行った。有害事象の評価ならびに,ASIA motor scoreの24週時におけるベースラインからの変化量を評価した。rhHGF髄腔内投与の安全性および下肢運動機能改善効果が確認された。2020年7月からAIS grade Aのみを対象とした第3相試験を開始し,現在進行中である。
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