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二次性心筋症である心アミロイドーシスやFabry病は,従来根治療法がない疾患と考えられてきたが,最近の医学の進歩で治療可能な疾患となってきている。原発性アミロイドーシスは,心不全発症後無治療での生命予後は平均6ヵ月と不良である。根治療法である自己末梢血幹細胞移植を併用した大量メルファラン療法は,生理学的年齢70歳以上,NYHA心機能分類III度以上の心不全の存在,低血圧などがあると適応がない。近年,プロテアゾーム阻害薬や免役調整薬が使用可能となり,従来治療の対象となり得なかった心不全を有する原発性アミロイドーシス患者の治療への道筋が確立されつつある。また,家族性アミロイドーシスは,肝臓で産生される変異トランスサイレチン4量体が構造的に不安定で,これがmisfoldingを起こすことでアミロイド繊維の重合を生じることが病因である。Tafamidis(ビンダケル)はサイロキシン結合部位に結合し不安定なトランスサイレチンを安定化させる作用があり,末梢神経障害の進展を遅らせる作用が確認されている。わが国では末梢神経障害を有する家族性アミロイドーシス患者に投与の適応がある。Fabry病はライソゾームにあるαガラクトシダーゼの欠損により,ガラクトースをもつ糖脂質がさまざまな細胞に蓄積し,腎臓や心臓を中心とする各臓器に関連するさまざまな臨床症状を呈する疾患であるが,酵素補充療法が可能となってきている。二次性心筋症は,日本循環器学会のガイドラインによると,虚血性心筋症,高血圧性心筋症,肥大型心筋症拡張相,心臓サルコイドーシス,アミロイドーシス,心筋炎*,不整脈原性右室心筋症*,アルコール性心筋症,脚気心,左室緻密化障害*,筋ジストロフィに伴う心筋疾患,ミトコンドリア心筋症*,薬剤誘発性心筋症,Fabry病,周産期心筋症*などが含まれるが,*を付与された疾患はAHA(American Heart Association)分類では後天性あるいは遺伝性一次性心筋症に分類される。本稿では主に心アミロイドーシス,Fabry病に対する最近の特異的治療を解説する。
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