特集 心筋性状・機能診断を考える-病理と画像が意味するもの-
識る 病態を理解するための知識 オートファジー 心機能にどのような影響を与えているか
金森 寛充
1
,
竹村 元三
,
湊口 信也
1岐阜大学 大学院医学系研究科循環器病態学
キーワード:
自食作用
,
リソソーム
,
心筋梗塞
,
心不全
,
カロリー制限
,
心筋細胞
,
オートファゴソーム
,
Resveratrol
Keyword:
Autophagosomes
,
Resveratrol
,
Autophagy
,
Heart Failure
,
Myocardial Infarction
,
Lysosomes
,
Caloric Restriction
,
Myocytes, Cardiac
pp.946-954
発行日 2017年9月9日
Published Date 2017/9/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017373894
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オートファジーとは文字どおり「自食作用(self eating)」のことであり細胞が自身の細胞内構成器官をリソソームで分解する蛋白分解系の総称である。その分子機構は1990年代の出芽酵母を用いた遺伝的解析により急速に進展した。オートファジーの生理的な意義は自己の細胞内小器官をアミノ酸レベルまで蛋白分解しエネルギー産生に寄与することである1)。歴史的には細胞が飢餓状態に陥った際に生存するための応答反応として知られてきたが,近年では細胞内の老廃物や傷害を受けた小器官を除去する「ハウスキーピング」や「リサイクル」の役割も担っていることが明らかとなっている。これに伴いオートファジーは発癌や神経変性疾患,糖尿病,腎臓病,心不全などさまざまな病態に関連があることが明らかになり注目を受けている。特に心筋は絶え間ない収縮と拡張を繰り返すため多くのエネルギーを必要とし,代謝が激しいため代謝産物が蓄積しやすいのでオートファジーは心機能の維持に重要な役割をもつことが明らかとなってきた。そこで本稿では筆者らの研究結果をもとにオートファジーの心筋での意義と治療応用への展望を概説する。
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