特集 成人先天性心疾患 正確な患者評価から適切な治療へ
診る 成人先天性心疾患に必要なCT、MR診断
石川 友一
1
1CVIC心臓画像クリニック飯田橋
キーワード:
MRI
,
心臓疾患-先天性
,
胸部CT
Keyword:
Heart Defects, Congenital
,
Magnetic Resonance Imaging
pp.474-483
発行日 2017年5月9日
Published Date 2017/5/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017220947
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「敵を知り,己を知れば,百戦危うからず」とは誰もが知る孫子の名言であるが,近代においては,とりわけ敵を知ること=正確な情報収集が勝利を規定すると考えられている。情報網を駆使して敵将の所在をつきとめた桶狭間の戦いは,その典型例であろう。医療者であるわれわれもまた,この金言に沿った行動を普段からとっている(はずである)。対峙する疾病について,詳細かつ正確な情報を得て脳裏に病態を構築し,最適な治療手段を選択,時機を逸せず実行するというプロセスである。成人先天性心疾患(adult congenital heart disease;ACHD)は治療の進歩に伴い,急速に増加しているコホートで遺残病変を有する患者も多い。症状出現に先行する血行動態変化を検知することがきわめて重要で,その手段として定期的な画像診断は必要不可欠である。画像診断から得るべき情報は,主に(1)心大血管構築,(2)血行動態,(3)心機能に分類される。身体所見・バイタルサインを元に,これらを推測していた時代から,現代ではさまざまなイメージングモダリティが開発され,きわめて詳細な病像が得られるようになった。その反面,扱う情報も幾何級数的に増大し,虚実に応じた取捨選択が必須である。あらゆるタイミングで決断を求められる医師にとって,イメージングモダリティを使いこなして正しい情報を知ることは百戦(選)を危うくしないための第一歩といえよう。本稿では,推奨されるマルチモダリティによるACHD管理のうち,CTとMRIについて,必要最低限の使用法について解説する。
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