特集 循環器疾患を有する患者の妊娠・出産
識る 早産・低出生体重児および不当軽量児の予後
楠田 聡
1
1東京女子医科大学附属母子総合医療センター
キーワード:
死亡率
,
発達障害
,
神経系疾患
,
発生率
,
未熟児
,
未熟児疾患
,
予後
,
低出生体重児
,
新生児ICU
Keyword:
Developmental Disabilities
,
Infant, Premature
,
Infant, Premature, Diseases
,
Infant, Low Birth Weight
,
Intensive Care Units, Neonatal
,
Nervous System Diseases
,
Mortality
,
Prognosis
,
Incidence
pp.365-372
発行日 2017年4月9日
Published Date 2017/4/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017201289
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循環器疾患を合併する妊婦では,妊娠状態が心機能に負荷となるため,妊娠期間を短縮して人工的に出産を実施する必要がときとして生じる。しかしながら,ヒト胎児の妊娠期間は約40週であるため,妊娠期間が短縮することは,胎児にとっては子宮外生活に適合できる能力が不十分な状態での出生となり,出生した新生児は早産児となる。早産児は当然,出生体重も軽くなるので,同時に低出生体重児となる。早産児は,出生後の子宮外生活に適応できずに死亡する危険性が高い。さらに,生命を維持することができたとしても,種々の合併症を起こす危険性も高い。従って,妊婦の心機能を考慮して,妊娠期間の短縮を選択する場合には,母体および新生児のリスクを適切に比較して,妊娠の終了時期を決定する必要がある。さらに,妊婦の循環器疾患のために,胎児の発育が抑制されることも決してまれではないので,妊娠期間に比べて出生体重が軽くなる不当軽量児(lightfor dates;LFD)の頻度も高くなる。LFD児も予後不良の危険因子である。そのため,循環器疾患を合併した妊婦を管理するときには,わが国で出生する新生児の予後の現状を十分に理解しておくことが重要である。
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