特集 循環器疾患を有する患者の妊娠・出産
識る 循環器疾患と避妊法
吉松 淳
1
1国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部
キーワード:
妊娠合併症-心臓血管系
,
避妊
,
経口避妊剤
Keyword:
Contraceptives, Oral
,
Contraception
,
Pregnancy Complications, Cardiovascular
pp.361-364
発行日 2017年4月9日
Published Date 2017/4/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017201288
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心疾患合併妊娠は妊産婦死亡の主要な原因疾患の1つである。現在でも妊娠に伴った不幸な転帰をたどる女性が存在する。一方,妊娠可能であるにもかかわらず妊娠をあきらめている女性も少なくない。「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン」には心疾患合併妊娠に関する基礎的な情報が示されている。知識不足による妊娠の回避や不幸な転帰を防ぐことに貢献している。このガイドラインには表1に示す疾患,病態を妊娠に厳重な注意を要する,あるいは,避けることが強く望まれるものとしている。このような場合には確実な避妊法が不可欠である。避妊の知識が不足しているがために,妊娠を回避することが勧められている女性が妊娠することはできるだけ防いでおきたい。なぜなら妊娠中絶を選択せざるをえない状況に陥った場合の精神的,身体的苦痛はより確実な避妊で避けることができるからである。心疾患患者の場合,その避妊法の選択は心疾患を意識したものとなる。避妊方法によっては心疾患に悪影響を及ぼしたり使用中の薬剤と相互作用を起こしたりするおそれがある。特に経口避妊薬(oral contraceptives;OC)では凝固系への影響,刺激伝導系への影響などを考慮した使用が求められる。心疾患患者の避妊,不妊治療にはそれぞれの疾患の特殊性を考慮した対応が望まれる。
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