連載
頭蓋内病変の画像所見スペクトラム(第6回) ヘルペス脳炎MIMIC
櫻井 圭太
1
,
住田 薫
,
山本 麻子
,
大場 洋
1帝京大学 医学部放射線科学講座
キーワード:
自己免疫疾患
,
鑑別診断
,
てんかん
,
脳炎
,
梅毒-神経
,
MRA
,
脳炎-単純ヘルペス
,
FLAIR法
,
拡散MRI
,
病態生理
Keyword:
Autoimmune Diseases
,
Diagnosis, Differential
,
Encephalitis
,
Epilepsy
,
Neurosyphilis
,
Magnetic Resonance Angiography
,
Encephalitis, Herpes Simplex
,
Diffusion Magnetic Resonance Imaging
pp.493-497
発行日 2019年4月26日
Published Date 2019/4/26
DOI https://doi.org/10.18885/J01843.2019198418
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヘルペス脳炎の概説
単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis;HSE)は三叉神経節に潜伏し ているherpes simplex virus(HSV)‒1が再活性化し,中枢神経節側に侵入するこ とにより発症する中枢神経感染症である。HSEは重症化した場合,生命および機能 的予後がきわめて不良な疾患であるため,早期診断,早期治療がきわめて重要となる。 上気道感染症状で発症し,意識障害や痙攣,異常言動などの高次脳機能障害を続発 することが多く,加えて,片麻痺や失語といった巣症状や抗利尿ホルモン分泌異常 症候群もきたしうる1)。HSEは側頭葉もしくは辺縁系を侵すことが多いが,脳幹を 側頭葉以外の脳葉を障害することも報告されている2)。診断には腰椎穿刺による髄 液検査およびHSV DNA高感度PCRが有用である。ただし,治療の早期開始やPCR 偽陰性症例を考慮すると,MRIによる診断も欠かすことはできない3)。
Copyright© 2019 MEDICAL VIEW CO., LTD. All rights reserved.