特集 凍結肩の最新の知見と治療法
凍結肩の遺伝子・蛋白質発現
吉田 衛
1
,
舟崎 裕記
,
丸毛 啓史
1国立病院機構西埼玉中央病院 整形外科
キーワード:
Cytokines
,
Hyaluronic Acid
,
遺伝子発現
,
肩関節
,
関節周囲炎
,
関節靱帯
,
回旋筋腱板
Keyword:
Ligaments, Articular
,
Periarthritis
,
Shoulder Joint
,
Gene Expression
,
Rotator Cuff
,
Cytokines
,
Hyaluronic Acid
pp.1016-1021
発行日 2017年10月19日
Published Date 2017/10/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2018015529
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はじめに
凍結肩では,主に烏口上腕靱帯を含む腱板疎部 に線維組織の増生が生じることから,腱板疎部が 本疾患の病的組織変化の主要部位と考えられてい た。このため,この部位から組織サンプルを採取 し,組織学的な解析や,抗体を用いた免疫組織染 色による蛋白質発現解析,さらには,total RNA を抽出し遺伝子発現を解析するなどの研究が,複 数のチームにより行われた。 近年になり,腱板疎部のreleaseだけでは十分な 可動域(range of motion;ROM)を得られないこ とから,病的組織変化は関節全体に及んでいると 判断し,腱板疎部以外の部位からも組織サンプル を採取し,従来の方法に加え,scanning acoustic microscopy(SAM)やDNA microarrayなどの新し い手法を用いた網羅的な解析が行われた。 また筆者らは,関節液の主要構成分子であり, 関節の恒常性維持に必須な高分子ヒアルロン酸の 産生が,凍結肩の肩甲上腕関節において低下して いることを見出した。本稿において,これらの研 究結果について解説する。また,使用した略語に ついては表1に記載した。
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