学会を聞く
第58回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会
船内 雄生
1
Y. Funauchi
1
1東京科学大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Institute of Science Tokyo, Tokyo
pp.94-96
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei77_94
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1.は じ め に
第58回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会が,奈良県立医科大学骨軟部腫瘍制御・機能再建医学教授の朴木寛弥会長のもと,2025年7月17日(木)~18日(金)の2日間にわたり開催された.会場は古都・奈良の中心地にあり世界遺産に囲まれる,奈良県コンベンションセンターであった(図1).骨軟部腫瘍医のみならず本領域に関わる他専門医師や職種,研究者,患者会など,多彩な参加者がこの地に集った.
今学会のテーマは,「啐啄同時――次世代につなぐサイエンス・パッション・アート」であった.啐啄同時とは,鳥の雛が卵を内側から殻をつつく音(啐)と親鳥が卵の外側から殻をつつく音(啄)が同時でないと卵が孵らない様子から生まれた言葉である.これを禅宗などでは,師匠と弟子の呼吸が一致したときにはじめて大きな悟りが開く好機となる,という意で用いるそうである.テーマに呼応したかのように,かつて誰かの弟子であった大御所もこれから誰かのお師匠となる若手も入り交じり,例年より早かった梅雨明けの盛夏に負けじと,各プログラム内で熱い討議が繰り広げられた.専門領域としては小所帯の本領域であるが,現地参加だけでも726名,オンデマンドを入れると約1,200名が参加され,盛会のうちに終了した.本稿は,中堅あたりに位置する骨軟部腫瘍医の筆者が,この素晴らしい学会の雰囲気を少しでもお伝しようと思い,記したものである.

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