連載 整形外科医療・機器開発秘話
上肢変形矯正のための新規医療機器Accurio変形矯正システムの開発
村瀬 剛
1,2
1ベルランド総合病院整形外科
2大阪大学整形外科
キーワード:
computer simulation
,
deformity correction
,
custom-made plate
Keyword:
computer simulation
,
deformity correction
,
custom-made plate
pp.438-443
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_438
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は じ め に
Accurio変形矯正システムは,上肢の変形に対して最適な矯正手術を三次元シミュレーションするためのソフトウェア技術,そしてその結果を実際の手術で実行支援するための患者適合型ガイドとカスタムメイドプレートからなる治療システムである(図1).
骨折後の変形治癒や骨端線早期閉鎖,先天異常などにより,上肢の変形が生じることがある.見た目のわるさはもちろん,隣接関節の可動域制限や不安定性,長期的には変形性関節症に進展することも問題となる.治療においては,荷重アライメントが重視される下肢とは異なり,上肢では三次元的に正確な矯正を行うことが重要である.しかし,単純X線像の情報や術者の経験・技量に依存する従来の手術では,十分正確な矯正は困難であった.たとえば,前腕骨折変形治癒(特に橈骨・尺骨の両方に変形がある場合)の矯正骨切りは非常にむずかしく,前腕回旋可動域を回復するための確立された手術方法は存在しなかった.伸展・内旋変形を伴う内反肘も,変形程度が強くなるにつれて手術の難易度は飛躍的に高まる.比較的単純と考えられがちな橈骨遠位端骨折の変形治癒においても,矯正を保ちながら術後の橈・尺骨長差を正確に合わせることは容易ではなかった.

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