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は じ め に
2019年後半から,新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)が世界的に流行している1).感染が流行すると,社会的距離の確保や隔離を強いられ,テレワークの推進,営業時間の短縮,休業要請といった政府からの要望をもとに,外出頻度の低下や在宅時間の増加が生じるようになった.
これらの措置はCOVID-19蔓延予防策として一定の効果を発揮する一方で,不安や抑うつなど心理状態の悪化,活動量の低下,身体的機能(日常生活動作:ADL)の低下を引き起こす2~4).また,外出頻度の低下,および在宅時間の増加は,定期的な運動習慣の減少に伴う体力・筋力の低下やロコモティブシンドローム(ロコモ)の増加につながる2).その結果,身体的な側面でも生活の質(QOL)を低下させる恐れがある5).
体力・筋力の低下やロコモの悪化は,自覚されにくいことがよく知られている6).また,体力の低下を自覚していても,運動指導やリハビリテーションを積極的に希望するか否かは本人の意思による.そのため,われわれは,COVID-19流行以後の生活様式の変化により低下した体力を「改善したい」と希望する患者および「改善の意思がない」患者の各特徴を把握することが重要と考えた.これらの結果は,運動療法介入を効果的に計画し,かつ限られた医療資源を適切に利用しつつ,患者QOLの低下を防ぎ,健康寿命の延伸や歩行能力の維持につながると考えられる7).
以上より,本研究の目的は,2020年11~12月に大阪府内で行われた大規模アンケート調査を解析し,COVID-19流行以後の生活様式の変化による身体的機能の低下に対して,運動指導を希望する患者・希望しない患者の特徴を把握することである.
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