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【要 旨】
目 的:希少疾患である腫瘍性骨軟化症(TIO)の早期診断のために,TIO患者の症状と脆弱性骨折のパターンを明らかにすることである.
対象および方法:2000~2022年に当院で治療を受け,原因腫瘍が同定されたTIO患者33例を対象とした.臨床症状および画像検査で肋骨,脊椎,四肢の脆弱性骨折のパターンを評価した.
結 果:TIO患者の平均年齢は57(24~87)歳で,痛みの発症~当科初診の平均期間は3.9(0.75~23)年であった.発症時の症状は,腰痛(10例),胸郭の痛み(8例),股関節痛(8例)であった.当科初診時には有痛部位は発症時に比べて増加していた.骨シンチグラフィーにおいて,トレーサーの集積部位および頻度は,肋骨100%,胸椎または腰椎83%,大腿骨近位部62%,大腿骨遠位部66%,脛骨近位部72%であった.各部位の骨折のタイプは,単純X線像またはMRIにより鑑別し,大腿骨頚部骨折(14例),大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(10例),膝関節の軟骨下脆弱性骨折(6例),大腿骨遠位部および脛骨近位部の骨幹端または骨端部の骨折(それぞれ9例,12例)であった.胸椎または腰椎の椎体骨折は患者29例中23例(79.3%)で検出され,biconcave deformityがもっとも多くみられる骨折タイプであった.
結 論:TIO患者の脆弱性骨折は,腰背部痛,胸壁の痛み,下肢の関節周囲の痛みを呈していた.脊椎椎体骨折はbiconcave deformityが多くみられ,股関節および膝関節の関節周囲骨折には軟骨下脆弱性骨折および骨端または骨幹端での骨折がみられた.これらの症状および脆弱性骨折の存在はTIOの早期診断に役立つ可能性があると考えられた.
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