大腿骨近位部骨折周術期における血液生化学検査値の推移

Change of blood biochemical values in the perioperative period of proximal femoral fracture

は じ め に

　大腿骨近位部骨折はわが国の高齢化とともに増え続け，今や高齢者のcommon diseaseといってよい．予後不良から “hip attack” とも呼ばれている．平常時からフレイルな高齢者の栄養状況に骨折と手術侵襲が加わり，炎症の増悪，蛋白異化の亢進から低栄養状態が進行する．これを阻止するためには早期手術・リハビリテーションのほか，術前からの栄養管理が肝要である^1）．

　栄養状態の評価に使われる指標としては，長期的な栄養状態をみる静的指標と，直近のそれをみる動的指標がある．前者として，上腕三頭筋皮下脂肪厚（TSF），上腕筋囲（AMC）の身体計測のほか，血液検査のアルブミン値と末梢リンパ球数を測定，後者としてプレアルブミン値を測定した．大腿骨近位部骨折の周術期におけるこれら血液検査項目の推移について検討した．